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2010年7月17-19日
2泊3日
百名山
木曽駒ヶ岳

白馬大雪渓を登る


【ルート】
1日目: 猿倉 白馬尻小屋 大雪渓 白馬岳山頂小屋(泊)
2日目: 白馬岳山頂小屋 杓子岳 白馬鑓ヶ岳 槍温泉テント場(泊)
3日目: 槍温泉テント場(泊) 猿倉
主な山 :杓子岳(2,812m)、白馬鑓ヶ岳(2,903m)
行程 :2泊3日
宿泊 :テント
最低気温 :8度
難易度 :★★★☆☆
お勧め度 :★★★★☆

【コース概要】
日本三大雪渓で有名な白馬三山。途中に槍温泉に寄って、山中の露天風呂を楽しむ。。
登山口は猿倉。広大な雪渓を登る。予想以上の長い雪渓に苦労しながらへろへろになって山頂小屋に到着。その後は、白馬三山の縦走を楽しみ、帰路は槍温泉に向かう。山中の贅沢な露天風呂を堪能した後、雪渓や鎖場が残る登山道を、猿倉へ向けて歩く。充実した3日間だが、しんどい!





(猿倉→白馬尻小屋→大雪渓→白馬岳山頂小屋)

先週登った白山登山の足の痛みがようやく取れてきた金曜日。7月のメイン登山である「白馬三山」へ向かった。
仕事の激務終え(笑)のためか、帰宅後、出発の準備をしながら眠ってしまい、起きると午前1時。慌てて荷物を担いで車に乗り込み、結局出発できたのが午前2時近くであった。

でもそのお陰で睡眠がとれ(6時間近く)、深夜の運転が非常に楽になった。
今回は通い慣れた中央道なので、先週のように高速を間違えることはない。少し明るみ始めた駒ヶ岳IC付近で休み、長野自動車道の豊科ICで下車、国道147から148、青木湖を超え、道の駅「白馬」で催してきた一物を出し、八方第五駐車場に到着したのは、午前6時ちょうどであった。
先週、車の足回りを整備したので、今回は無事アクシデントもなく非常に順調に来ることができた。


今回の登山口である「猿倉」まではバスが一般的なのだが、実は乗用車でも行ける。
でも、連休初日ということもあり、八方から確実なバスで行く方法を選んだ。幸い駐車場は無料だし、きれいなトイレもあるし、それに駐車場から美しい白馬の山々が見られるのは何とも気持ちが高ぶる。

駐車場は結構空いており、すぐ近くにある八方バスターミナルへ行っても、猿倉行きの登山客は少なかった。900円/人のチケットをセンター内で買い、6時半に来たバスに乗り込む。ここから猿倉までは20分、今日は道に車が多いと30分ぐらいだそうだ。
第五駐車場を通過し、猿倉までの細い道をバスが走る。
乗用車でも狭いと思う道を、大きなバスでよく走るものだ。S字カーブなどは崖すれすれである。

午前7時、猿倉登山口へ到着。
猿倉荘という小屋が建っており、多くの登山客が体操をしたりして山に入る準備をしていた。ここでは色んな事が出来る。
例えば登山計画書の提出。ご丁寧なことに、担当の方がいて計画書を細かくチェック。そしてコースについてのアドバイスや注意をしてくれる。我々は白馬三山から鑓温泉を経て、またここに下山する予定だったが、鑓温泉付近は残雪が多く、注意するようにとアドバイスされた。
他にも登山保険に入れたり、雪渓を登る為の軽アイゼンを販売していたりする(1000円)。もちろん食事もでき、下山時には人で賑わうのだろうと思う。


八方第五駐車場 猿倉登山口 アイゼンも売っている


さて、準備体操を終え、いざ出発。
若い人やら老人グループやら多くの人達と列を作りながら、新緑に満ちた登山道を上がって行く。空気は新鮮で、登山道もしっとりと濡れており気持ちは良いのだが、結構暑い。それに今日あたりに梅雨明けする予定らしいのだが、ここは山。これからの天気はまだ分からない。

しばらく登ると整備された林道に出た。3日分以上の食糧を背負っているので結構きつかった序盤が、これで楽になった。整備された林道は歩きやすく、嬉しいことに青空も出てきている。まだこの辺りは湿度も高く汗ばむ気温だが、足だけは快調に進む。

その後再び登山道に変わり、緩やかな登りを進んでいくと、1時間ちょっとで最初の小屋である白馬尻小屋に到着した。ちょっと疲れてきた頃だったので、ここでの休憩はとてもありがたい。
そして何より目に付くのが「ようこそ、大雪渓へ」という岩と、そしてその後ろに続く真っ白な雪渓である。
見事なものである。雪渓の先など全く見えない。ずーーーっと、先の方まで真っ白な道が続いている。さすが日本三大雪渓。小屋の前で皆、アイゼンを付けているのだが、雪渓から吹いてくる風が非常に冷たく、半袖では寒いぐらいだやっぱり雪だ。


林道を歩く 白馬尻小屋、到着 小屋の前でアイゼンをつける


行動食を口に入れ、水を飲み、アイゼンを付け、いよいよ雪に踏み込む。
初アイゼンは、先日の白山で体験済みだったのでその効果は分かっていたが、改めてアイゼンの重要さを実感する。4本爪なので踵などで踏ん張るとすぐに滑るのだが、慎重に歩けばそれほど不便を感じることはない。雪上にも赤いラインが引かれており、相当視界が悪くなっても道を間違えることはないだろう。

実に面白い。
これまでの登山とは全く別のものに思えるぐらいだ。いちいち岩を避けたりすることはなく、自由場所に足をおいて歩ける。アイゼンがしっかりしていれば、問題なく歩ける。
でも、不便さも感じる。ラインができているので休憩しようと思うと、ラインから外れて立っていなければならない。本当に行列になっている際には、ラインに入ったり出たりするのも大変だ。そしてそのラインも後ろからどんどん人が上がって来るので、あまり自分のペースでは歩けない。
それでも何より落石の危険が怖い。何も遮るものがないので、岩が勢いよく転がって来る。実際登っている際も、近くにある雪渓を大きな岩が勢いよく転がっていた。音は結構あるが、直撃したらやばいレベルだ。
でもこれまでにない面白い経験であることには間違いない。

長い。
日本三大雪渓らしいが、長い。しかも天候が安定せず、高度が上がると霧が出てきた。雪上に吹く霧なので冷たく、体に着くとすぐ水滴になる。そして寒い。歩いていても足先が冷えてくるのが分かり、傾斜が緩やかな場所で急いでレインウェアを着る。行動食を口にし、上着を着たことで少し元気が出てきた。しかししかし、傾斜が急になると、4本爪では少々心細い。ベテランならいいが、正直ド素人だ。気を抜くと簡単に足が滑る。後ろにもすぐ人が迫っているので、あまり休憩も取れず、フラフラになりながら3時間、午前11時半にようやく雪渓を登り終えた。


最初は気持ちよく登る ガスってきた ひえ〜!


長い、長い、長い。
疲れた、疲れた、疲れた。
本当にヘタレなので、この長い雪渓はきつかった。終盤の急斜面と、慣れない雪上移動が更に体力を奪っていく。雪渓を終えた先でたくさんの人がアイゼンを外しているが、皆もかなり疲れたようで、狭い岩場などに腰を下ろして休憩をしている。係りの人が「上の方で休憩してくださーい」と叫んでいるが、皆、一度下した腰はなかなか上がらない、
それにしてもこの雪渓を終えた場所、斜面が急すぎる。岩もゴロゴロしており、道も狭く、渋滞気味だ。相変わらず霧がかかっており、雨になるのかどうか微妙なところだ。

少し腹ごしらえをして、この急坂を登ってゆく。
正直、初日はここからが一番辛かった。ひとつは雪渓で体力を使いきってしまったこと、ひとつは霧と小雨で精神的に暗くなっていること、そしてもう一つはトイレに行けないことである。
最初にあった白馬尻小屋から、ゴールである白馬岳山頂小屋までトイレはない。途中避難小屋はあるのだが、とても小さく、トイレもない様子。今思い出しても非常に辛かった。

でもいいこともある。
この辺りから高山植物が結構目立ってくる。時期的に良く、色んな花が見られる。まあ、正直花を見ている余裕はないのだが。。
へろへろになりながらようやく、小屋が見えてきた。さすがに嬉しかった。嬉しかったが、小屋が見えてからが、また長い。足取りが重いので仕方ないのだが、進んでも進んでも着かない。ちょこっとずつ小屋が大きくなるのは分かるのだが、一向に着く気配がない。


雪渓を終え休む登山者 雪渓の後が結構大変 ようやく小屋が見えた!


へろへろだ。
何でこんなにへろへろになってまで、山に来るのだろうか。正直こんな苦痛、嫌だ。好きではない。歩いている時は、「早く終われ、早く着け」と念じながら歩いている。
でも、帰宅すればその苦しさもいい思い出になってしまうのが不思議だ。登りの苦痛がない登山は、正直要らない、とすら思う。
でも、へろへろは嫌だ。本当に辛い。
今、日常生活でこれだけ疲れること、ゼイゼイ息をすること、そんなことはまずない。だから嬉しいのかもしれないと思う。そこに生きていること、「生」を実感できるのだ。
こんなに辛いのに、何でまた重いザックを担いで登っているのだろうか。自問自答して、何だか苦笑いをしてしまう。


14時半、ようやく白馬岳山頂小屋に到着。7時間半の長丁場であった。
さすがに7月の3連休とあって、小屋もテント場も混雑しているようであった。自分が到着した時には、ほぼテント場は満員状態で、辛うじて場所の悪いサイトだけが空いている状態であった。それでもテントが張れるだけまだましで、すぐにザックを下ろし、「今夜の家」作りを始める。

モンベル(mont-bell) ステラリッジテント 2型 SUYL [1~2人用] 1122283

天気は晴れたり曇ったり。勢いよく雲が流れてゆく。雨が降らないだけましだが、今日は展望は期待できない。
テントが出来上がると、早速一息つくことにした。行動食やおやつ、そして相棒は重い思いをして持ってきたリンゴをかじっている。
そして自分は今回はビールをやめ、梅酒を持ってきた。水割りで飲めるので、ビールに比べると少量で済む。
「美味い!!」
疲れた体にアルコールが沁みてゆく・・・
濃度も自分で調整できるので、疲労度に応じて濃くしたり薄くしたりする。それに何より水がいい。山の水で割る酒。不味いはずがない。


白馬岳山頂小屋テント場 ウルップソウ ミヤマオダマキ
イワベンケイ ショウジョウバカマ ミヤマクロユリ


しばらく休んだ後、相棒は夕飯の支度にかかったので、自分は周辺に咲く高山植物の写真を取に散歩に出かけた。と言っても、まだ疲労困憊なので、ふらふら、集中力も欠けたままの撮影だ。しかも夕方近い為か、閉じている花も多い。
30分ほどふらふらして、テントに戻る。
相棒が買ったばかりのフライパンが焦げ付く、と怒っていた(チタンは焦げる!)。
持ってきた魚が焦げ付いて、ボロボロになってしまったらしい。まあ、食えれば何でも一緒なのだが。

夕方6時近くになっても、テント場にやって来る人がちらほらいる。
お疲れ様、って言いたいもんだ。
7時過ぎ、シュラフに包まって眠りに就く。



(白馬岳山頂小屋→杓子岳→白馬鑓ヶ岳→鑓温泉テント場)

あまり疲れ過ぎていたのだろうか、夜は珍しく眠りが浅かった。ただ、夜中に起きたトイレの際に見た夜空は、満面の星が輝いていて今日の快晴はとても期待できた。

午前3時起床。
気温は朝方で8度。暖かい。秋のアルプスしか知らない身にとっては、夏山がこんなに暖かい(暑いぐらい)とは、思いもよらなかった。シュラフはmontbellの#3を持ってきているが、途中から半分開けて寝ていたぐらいだ。確実にオーバースペック。

昨晩見た星空の予想通り、朝から雲ひとつない快晴。梅雨が明けたんだなあ、と密かに思った。
今晩向かう鑓温泉テント場は、サイトの情報によると20ほどしかテントが張れないようなので、いつもよりも早目に起きて出発も午前5時とした。
近くの丘に登って朝焼けを楽しんでいる人たちが結構いたが、早目の出発をしなければならないので行きたいのを我慢しつつ、テント場を後にした。


今日はアルプス2日目。そう、この2日目以降が一番楽しい時だ。まさにアルプス!って絶景が楽しめる。
そして歩き始めてすぐ、そのアルプスの凄さを思い知らされてた。すれ違って人が言った言葉から始まる。
「今日は全部見えるよ」



雲海


雲海だ。
自分の最も好きな風景の一つ。雲海。
やっぱりアルプスに来て良かった。昨日は死ぬ思いをしたけど、やっぱりこれでなくちゃ。早々に報われた気がして嬉しかった。
そのまま足を進めると、360度景色が見られる場所に出た。
凄いもんだ。


立山連邦 神秘的な雲海


遠くの何だろうか、八ヶ岳かな、雲海に浮かんでいるし、西には立山連邦も良く見える。もちろん剣岳も。さすが立派である。こんなに高い場所まで登って来ていたんだ、改めて思う。
暫く写真を取った後、次の山である杓子岳に向かう。

本当は白馬岳にも登りたかったのだが、歩行スピードが遅い我々なので無理に行くことはしなかった。行っていれば「白馬三山(白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳)」って題名でこのサイトにも載せることができたのだが、そんなことはまあいい。目的は「山を楽しむ」こと。白馬岳はまたこの次にしよう。

杓子岳に向かう人は意外と少ない。
早朝ってこともあるだろうが、数人しか歩いていない。昨日の大行列が嘘のようだ。
6時近くになって来ると、少しずつ雲海が消えてゆく。やはり夏だ。これが秋ならまだしばらくは雲海が残っているのだろう。
でも、雲海を眺めながら、山を歩けるってのは本当に贅沢だ。雲の上を歩く、って感じだ。


杓子岳には一度最低鞍部まで下りなければならない。稜線歩きなのだが、やはり登りも多い。
それでも贅沢な道には変わりないだろう。左手には雲海。右手には立山連邦。後ろには白馬岳。そうそうたる景色である。目の前の「登り坂」だけが余分だが。。


雲の上を歩く 振り返ると白馬岳が見える 中央が杓子岳


ちなみに杓子岳には山頂に登るルートと、登らない(トラバース)ルートがある。もちろん登らないルートの方が楽ちんなのだが、さすがにここは登ることにした。やっぱり山頂からの風景が見たい。
向かう人は半分ぐらいである。主に若い人が多い。ご老人の団体はトラバース道を選んでいる方が多い。
それもそのはず。この山頂への道、結構辛い。
距離的にはそんなにないが、見た目以上に傾斜があり、それに石ころばかりで崩れやすく危ない。

自分は何とか大丈夫であったが、運動神経ゼロの相棒がヒーヒー言っている。怖くて足が上がらないようだ。
そんなかんだで出発から2時間ちょっと、午前7時過ぎにようやく杓子岳山頂(2,812m)に立つことができた。


杓子岳からの眺め 白馬鑓ヶ岳を望む 富士山


うん、思った通りのいい景色だ。
もう雲海はあまり形を留めていないが、それに劣らない景色が広がっている。それに良く見れば、遥か向こうに富士山が浮かんでいるのが見える。南アルプスだったらとても綺麗に見えるだろうと思うが、さすが富士山。これだけ離れた北アルプスからでも非常にはっきりと見える。


山頂でしばらく休憩した後、次の山「白馬鑓ヶ岳」に向かう。白馬三山の最後の一つだ。
しかしこの杓子岳から少しの間は、結構道がスリリングである。稜線の細〜い版である所謂キレットになっているのだが、狭い所だと50cm程しかなく、踏み外したら数百メートル先まで転落、って場所だ。
なるべく下を見ずに(写真撮ったけど)何とか通過。山は好きだが、高い所はあまり得意ではないのだ。。。

先程頂上への道と別れたトラバース道と合流。これから鑓ヶ岳への道が始まる。
見上げると、結構ある。というか、随分遠い気がするのだが、、気のせいだろうか。
幸い、足もとには可憐な高山植物が咲き誇り、何とも和やかな雰囲気にしてくれるのが嬉しい。天気も良く、雲ひとつない。というか、ちょっと暑い。直射日光が強すぎる。さすがアルプス。


杓子岳山頂 キレット? 落ちたらやばい・・・


午前8時から登り始める。
この時間帯になると、かなり人が増えてきている。やっぱり白馬は人気のコースなんだと思う。
猛暑の中、苦しい登りを開始する。ザクッ、ザクッと乾いた石砂の登山道に、靴が踏みこまれる。聞こえてくるのはこの音と、自分の息の音のみ。視界に入るのはたった3色。空の青と、山の緑、そして登山道と残雪の白だ。水もガンガン減ってゆく。苦しい時間だ。苦しいのだが、何故か後になって思うと、一番登山らしい時間のような気もする。苦しいが、やはりこれなくして山行とは言えない。



白馬鑓ヶ岳へ 青、緑、そして白 ひたすら登る



午前9時過ぎ、白馬鑓ヶ岳(2,903m)に到着。疲れた。。
ここからの景色はまた素晴らしいもんだ。時間帯も9時と青空を撮るには良い時間で、まずまずの写真も撮れた。



白馬岳と杓子岳



また、山頂は結構広く、たくさんの人が休憩している。多くの人が写真を撮っている。それもいいだろう。ここまで来るにはどのルートにせよ、それなりの苦労があったはず。そしてそれに報いるだけの景色がここにあるのだから、思い思いに写真は撮りたい。



白馬鑓ヶ岳から天狗ノ頭方面を眺める


少し長めに休憩した後、いよいよ下山を開始する。
これからはどんどん標高を下げてゆく。目指すは標高2,100mにある鑓温泉。テント場が小さいからやっぱり早く着きたい。それに地図を確認すると、小屋の目前に「クサリ場」と記載されている。鎖があるのだろう。個人的には楽しみだが、相棒は気が重いようだ。

すぐ正面に見える天狗山荘に気持ちが行きつつ、その分かれ道である鑓温泉への登山道へ下る。
ここから結構しんどい。
既に時間は午前10時となっており、今日はもう5時間近くも歩いていることになる。そしてここからやや難しいコースであるこの登山道を2時間半は歩かなければならない。
そしてここの白馬では良くスタッフの方(登山道の整備などをしている)に会うのだが、曰く
「ストックをしまって両手を使わなければならない鎖場があるし、今年は結構危ない雪渓が残っている」

なんてことを言っている。それを聞いた相棒は、しばらくして同様の為か尻餅をついて親指を痛める。
下りはある意味登りとは別の辛さがある。
足の負担が大きいし、聞いたところによると筋肉の使い方が違うそうだ。
どちらにしろ足が痛い。

雪渓が現れる。
アイゼンを取り出し、装着。慣れた人だとそのまま歩いて行ってしまうが、我々素人にはそれは無理。念には念を入れる。
しかし、疲れと暑さでダウン寸前である。標高が下がってきて、ますます暑い。木々も随分現れてきて、下っているんだなあって実感する。


ライチョウ 鑓温泉へと下る 雪渓が出現


雪渓を2,3個クリアした先に、いよいよ鎖場が現れた。
確かに鎖なしでは大変な場所だが、しかし思っていたよりも随分貧相な場所であった。鎖もしっかり固定されているし。注意さえ怠らなければ難しい場所ではないようだ。相棒は青くなっているが。

先に進む。相棒をフォローしながら、ゆっくり下りる。時間はかかったが、慌てなければ問題ない。個人的にはもっと足を踏み外したら、数百メートル落下!みたいな場所を連想していた。良かった。

鎖場を超えたのが12時。
そして今回の山行で一番辛かったのが、ここから小屋までの道であった。もうすぐそこ、ってのは分かっているが、中々小屋の姿が見えないし、長時間の登山、暑さ、そして鎖場での集中で、心身共に疲れ果てている。
また大きな雪渓が姿を現した頃、ようやく小屋の姿を捉えることができた。


最後は這うようにして12時半、鑓温泉小屋到着。
すぐにテントの受付をして、テント場へ。何とか数か所、場所は空いていた。良かった。でも、平らな場所はほとんどない。悩んで選んだ場所でも、テント内は傾いている。。まあ、仕方がない。


だんだん標高が下がってゆく 暑いが綺麗 鎖場


でも、ここのテント場、結構すごい。
何がすごいって、まず景色。テント場って普通、強風を避ける為に窪地に作れることが多い。でも、ここは山の斜面にあり、東より現れる日の出も見られる。そして何より露天風呂。テント場からは丸見え(笑)なのだが、たった300円で何度も入れるそうで非常に楽しみだ。

とは言え、まずはテント作り。そして腹ごしらえ。腹が減って動けない。。
ラーメンをすすりながら、テント場から見える風景を楽しむ。いい場所だ、ここ。そして早速風呂に向かった。一応混浴だそうだが、もちろん女性などいない。女の人は隣にある内風呂に入っているらしい。そして夜の8時から9時までの間は露天風呂が女性専用となる。粋な計らいだ。

簡易脱衣所で服を脱ぎ、いざ風呂へ!

「あ〜〜〜、気持ちいい。。」

テント場から丸見えだが、そんな事どうでもいい。疲れた体に暖かい湯が沁みる。湯船がコンクリートでごつごつするが、そんな事もどうでもいい。体いっぱいに湯を感じながら、周りに広がるアルプスの山を堪能する。こんな贅沢があったのか。今日の登山で真っ赤に焼けて、痛い痛いといいながら嬉しそうに浸かる人。「あ〜、が〜」とか言葉ならない声を発する人。特に爺さん連中なんて、ずーーーと浸かりっぱなしで湯を楽しんでいる。
日本人でよかったなあ、と思う。温泉という文化があって良かったなあ、って本当に思う。


鑓温泉テント場 露天風呂入口 テント場から丸見え


風呂から出た後は、普段買わないビールを買ってしまった。これは仕様がないでしょ。露天風呂の後に、冷えた一杯。テントに戻って、景色を眺めながら、ポカポカした体で、冷えた一杯を飲む。極上の幸せだ。
ビール、相当売れてます。
ちなみにここには足湯もあって、これはだれでも無料で利用できる。粋だよな、ここ。


しばらくはビールや梅酒を楽しみながら寛いでいたのだが、夕方過ぎてもまだまだ人がやって来る。
自分が来た時ですら場所は少なかったので、最後の方では完全に斜めって場所にまでテントが張られていた。早い者勝ちなので仕方がないが、ここのテント場は状態は良くない。でも、かなりのお気に入りのテント場だ。

就寝前に再度風呂に浸かり、きれいになって午後7時過ぎ、床に入る。
予想以上の傾きに驚きながらも、充実した一日が終わりを告げる。



(鑓温泉テント場→猿倉)

傾きのせいか、疲れ過ぎの為か、昨夜もまた良く眠れなかった。
テントで眠れないってのは、最近なかったので正直驚いている。相棒は良く眠れたそうだ。気温が昨晩より高い13度(朝方の温度)で、少々寝苦しかったのもあるかもしれない。


朝日の前


昨晩も満点の星空だったので、今日も快晴。朝の4時から5時ぐらいにかけては、楽しみだった日の出も満喫できたし、もう何も思い残すことはない。露天風呂に入りながら朝日を眺めている人もいる。いい場所だ。


星空も綺麗 テント場から日の出を眺める 朝日を眺める人


今日はゆっくり目の午前6時に出発。
まずは眼下に広がる大雪渓を歩かなければならない。再びアイゼンを取り付け、雪を踏みしめる。歩いていて気付いたのだが、雪は登りよりも下りが怖い。あんまり踏ん張りが利かないのと、スピードが出過ぎてしまうこと。そして、背後から来る落石に注意しなければならないこと、などだ。

それにしても今日も直射日光が強いので、雪に反射して目が痛い。帽子は被っているが、反射で顔も焼けているようだ。意外に大変だ。
背後に美しい山を眺めつつ、雪渓をトラバースしてゆく。岩と雪が交互に現れ、暑さと慣れぬ道に苦戦する。難易度としては中級ぐらいはあるだろうと思う。


雪渓 道は良くない 最後の雪渓を渡りきったところ


午前7時過ぎ、ようやく最後の雪渓を渡りきる。後は通常の登山道だ。でも、下山道とはいえ、登りもあるし、道は悪いし、それに暑い。猛暑だ。休憩も木陰を選ばないと、休憩にならないほど。水は大量に持ってきていたので良かったが、途中でなくなったらえらい目に遭うところだ。
下山をしていくにつれ、暑さが体力を奪っていく。時折見せる水芭蕉などが元気をくれるが、もう最後は気力との勝負だ。今思えば本当にヘタレ状態である。


ヤマザクラ? カラマツソウ 水芭蕉


歩き始めて4時間半、初日に通った道との分岐点に辿り着いた時は、泣きそうになって喜んだ。
いやいや本当に疲れた。
そこから猿倉までは15分、非常に足が軽かった。
午前11時ちょっと前、3日間にわたる山行が無事終了した。天気も良く、大きなトラブルもなく今回も山を楽しめたことをまずは感謝。そして付き合ってくれた相棒にも、感謝。
駐車場まではバスの本数が少なかったので、タクシーの相乗りで戻った。


白馬、良い山であった。
雪渓、高山植物、温泉・・・と魅力を挙げたらきりがない。登山客が多いのも分かる。
でも、例えそれがなくても、やっぱりやっぱり山は楽しい。


白馬に別れを告げる


こちらの山行はたびねすでも記事を書いています



データ
八方駐車場
第1から第9駐車場ぐらいまである。今回駐車したのは第五で無料だが、一部有料の場所もある。地図は右の図をクリック。
バス
(八方バスターミナル→猿倉)
第二駐車場対面にある八方バスターミナルから乗車。料金片道900円/人。所要約25分。猿倉の登山口付近にも駐車場はあるが、狭い上に非常に込み合うので連休時等は八方から行った方がいい。
白馬岳山頂小屋
テント場
500円/人。白馬山頂小屋にて受付をする。非常に丁寧に説明してくれる。HPによると100サイト位張れるそうだが、実際には難しそうな気がする。窪地にある為展望は良くないが、少し登れば眺めは良い。岩多い。
白馬岳鑓温泉
テント場
500円/人。入浴は300円/人。下からも上からもアクセスの大変なテント場。山の斜面に作られているので、テントを張れる数が少なく(30位)、しかも傾いている場所が多い。しかし、テント場には珍しく、日の出が見える環境であり、そして何より天然温泉が素晴らしい。アルプスの山々に囲まれながら入る温泉は最高。売られているビールも最高に美味くなる。非常に個性的なテント場。(ビール350ml/600円・500ml/800円、オレンジジュース500ml/500円)
タクシー
(猿倉→八方バスターミナル)
帰りはバスの本数が非常に少なくなっていたのでタクシーで駐車場まで。他の登山客の方と相乗りで3000円(人数で割るとバスと変わらない)。所要20分。
ルート所要時間
day1: 猿倉(06:50)→白馬尻小屋(07:40)→大雪渓(10:00)→白馬岳山頂小屋(11:30/泊)【4.5h】
day2: 白馬岳山頂小屋(05:00)→杓子岳(08:50)→白馬鑓ヶ岳→鑓温泉テント場(12:30/泊)【7.5h】
day3: 鑓温泉テント場(06:00)→猿倉(11:00)【5h】






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