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2010年7月30-8月1日 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2泊3日 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(中房温泉→富士見ベンチ→合戦小屋→燕山荘) 冬に貯めておいた有給を使って、3日間の山籠りに出かけた。夏山のシーズンは短いので、迷うことなくガンガン山に行きたい。 選んだのはアルプス入門コースで有名な「燕岳(標高2,763m)」。それに景色に優れた表銀座コースの一部(燕岳〜大天井岳)を楽しもうと考えた。本来ならば、そのまま槍ヶ岳まで行くちゃんとした表銀座を歩きたかったが、日数の関係と、下山後の交通手段(高い!)の為に、お馴染みのピストン山行となった。 日程はかなり余裕をもったものにした。 山の玄人の方から見れば笑われるような計画かもしれないが、ゆっくりと山を楽しんで、早目にテント場についてゴロゴロしたいと言う考えからこの程度とした。他の人の山行より、プラス1日多いって感じだろう。 仕事を終えた木曜の夜に出発。 平日深夜に高速を走るのはほとんど記憶がないが、こんなに空いているものなのかってぐらい車が少なかった。ただし、天候は不順。雨が降ったりやんだり、時には豪雨のようになったりもした。 それにしても山のシーズンに入ると、あまり体を休ませる事ができなくなるので徹夜の運転が辛い。元気な時には一気に登山口まで行って仮眠をするのだが、今回も途中のSAなどで思わず眠りこんでしまったりした。 それでも何とか登山口である中房温泉の登山者用駐車場に着いたのは、午前6時ごろ。途中の山道が狭く細く、その上カーブが多くて長い為、運転自体も結構疲れた。 車は一杯であった。金曜の早朝なのにこれほど埋まるとは、さすが北アルプスでもメジャーコースである。数台空いている場所に車を停めて、準備を整え、いざ出発。 中房温泉まではアスファルトの道を登る。15分ほどで登山口である中房温泉に着く。ここには立派なトイレもあるので、用を足しておく。 いざ登りへ。噂に違えず、急な登山道である。登山客が多いため良く整備されてはいるが、その整備自体が古くなっていて、木が腐りかけていたりする場所もある。さしあたって歩行に問題はない程度だが。
天候は曇り。出発時点では青空も出ていたのだが、残念ながら霧やら雲だか分からないガスが出ており景観はない。昨日までの雨の影響か、登山道は所々まだ濡れている。今日の晴れはやはり無理のようだ。明日以降に期待したい。 単調だが急坂な登山道が続く。 1時間弱ほどで第一ベンチに到着。このルートは、第一、第二、第三、そして富士見ベンチと順番に休憩ポイントが続く。ペース配分も勝手にしてくれるので、まさに入門編ということだろう。 平日なのに結構多くの人が休んでいる。ちなみにここには今回のルートで、最初で最後の水場がある。まだあまり水は減っていないが、念のため冷たい水を汲んでおく事にした。 話はそれるが、ここで非常に嫌な思いをした。 ここ数年、中高年の登山客が増えいるのだが、中には非常にマナーの悪い人間がいる。短い山旅の中での経験だが、「若い人より、中高年の方が酷い」、という感じがする。この先に会う事になる中高年のツアーを引率していたガイドさんが言っていたのだが、「中高年になると遠慮がなくなるからねえ」って言葉に、妙に納得させられた。 ここでもそうであった。 第一ベンチで休憩してた中年の男性2人組の1人が、タバコを吸い始めた。ただでさえ煙が臭く、どっか遠い場所で吸って欲しいと思っていたのだが、あるまじき事に灰を平気で道に捨て始めた。 驚いた。これだけ人がいる場所で、あれだけ平気に灰を捨てられるとは。一体どういう神経をしているのだろうか。しかも、腰には携帯灰皿らしき物をぶら下げている。 頭に来たのでずっと睨みつけていたのだが、道に捨てられた新たな灰が煙を上げるのを見て我慢できなくなった。 「非常識!」 相棒と話す振りをして、睨みつけながらデカイ声で中年に向かって言い放った。 さすがに悪いと思ったのか、そそくさと足で灰を消し、荷物をまとめて行ってしまった。 今思い出しても腹が立つ。中高年がすべて悪い訳ではない。数が多いので悪い人間も出てしまうのだろう。でも思う。挨拶をしても返事が返ってこないのも、やはり中高年がほとんどだ。 第一ベンチから1時間ほどで、第二ベンチに到着する。 道は単調でベンチがなければただの急なつまらない登山道になってしまうのだが、ベンチのお陰で少しメリハリがつく。 少し休憩した後、第三ベンチに向けて出発する。 ここからようやく少し坂が緩やかになる。一部稜線らしき場所も歩ける。またすぐに急坂な道に変わるので、一時的な良心的な道になるのだが、やはり「平坦」はいい。
再び1時間ほどで第三ベンチ、そしてまた1時間ほどで富士見ベンチと続く。 本来、富士見ベンチではその名の通り富士山が見られるはずなのだが、生憎の天候により視界は真っ白。仕方がない。 富士見ベンチを過ぎると、随分と標高が上がってきたのを感じる。 木々が低くなり、丸みを帯びた岩が出現する。所々木々の隙間から視界も開けてくる。 結構きつく感じ始めた11時半、ひとつの目標である合戦小屋に到着した。 合戦小屋の由来だが、 「桓武天皇の時代、ここらに住む魏石鬼とかいう悪さをする妖怪を、坂の上田村麻呂が三十三の山鳥で作った矢を使って合戦(退治)した」ということらしい。 それからこれはもう有名だが、ここはスイカが名物である。何でも地元波田町産のおいしいスイカらしい。確かに、休憩している多くの人がかぶりついている。自分も食べたいとは思ったが、一切れ800円という価格に尻込みしてしまい、持参したリンゴを齧る事にした。地元にお金を落とすことは必要だが、、貧乏人にはちょっと手が出ない。。
合戦小屋からは比較的なだらかな道が多くなる。 景色も晴れていれば良いはずだし、そうでなくともこの時期は高山植物が非常に可愛らしい。人様のサイトでたくさん高山植物を掲載している物をよく見かけるが、実際、実物を見てその魅力に気付く。 足が痛く、息が上がり、疲れきっている先に、ほんのりと可愛らしい花が目に入る。元気を貰える。何とも恥ずかしい表現なのだが、花が応援してくれているような気分になる。 花の種類も豊富で、珍しい花はないかな?って探しながら登るのも楽しい。 それでも合戦の頭に着いた時には、かなりヘロヘロになってしまっていた。時刻は12時半なので、登り始めてから5時間半が過ぎている。 そして最後の力を振り絞り、小さな鎖場を過ぎ、ゆっくり花を眺めながら13時半、ようやく燕山荘に到着した。6時間半の行程であった。
残念ながら山荘付近もガスに覆われており、楽しみにしていた燕岳の姿も時折しか見る事が出来なかった。 それでも一応、燕岳が真正面に見える場所にテントを張り、使用料(500円/人)を払う。 テントを張り終えてからは、散歩がてらに山荘に入って見る。ここ燕山荘は人気の高い山荘である。サービスも良くて、食事も美味しいらしい。お土産コーナーも山荘らしくないほど充実している。帰りにジュースやカップ麺を買って食べたのだが、ごみの引き受けはもちろん、カップ麺はお湯まで入れてくれた。水が有料なここらでは有難いサービスだ。 テントに戻りしばらく休憩し、夕食の準備に取り掛かる(相棒が)。 今日は平日なのでテント場も閑散としている。半分弱の入りだろうか。これで晴れていたら最高なのだが、霧はどんどん濃くなってゆき、辺り一面真っ白になってしまっている。 明日は晴れるだろうか。不安を抱えつつ7時前には就寝。。
(燕山荘→大下り→大天荘) 朝方に何度かうとうとした。その度に聞こえてくるのが、テントに雨が当たる音。最も聞きたくない音の一つである。 天候が悪いせいか明るくなるのも遅く、通常よりも遅めの起床となった。 起きると雨こそ上がっているものの、昨日以上の霧で真っ白だ。雪山じゃないがホワイトアウトのようだ。 今日天気が良ければ、テントから燕岳の朝焼けを見、そのまま山頂まで往復してこようと思っていたのだが、これでは無理のようだ。山頂に登っても視界はおそらくゼロだろう。予定を変更して大天井への行軍のみとする。地図上で約3時間。朝はゆっくりしても、十分昼前にはつきそうだ。 朝食をとり、午前7時半に出発。「鳳凰三山」2日目以来ののんびりスタートである。 2日目の今日は、本来ならば今回のハイライトである「パノラマ銀座、満喫日」である。槍や穂高、裏銀座の壮大な山々を眺めながら、なだらかな稜線を歩く。 けど、残念ながら今日は霧。数十メートル先しか視界が利かない。遠くの山々も、ごく稀に霧が晴れて一部見られる事もあるが、ほぼ視界はなし。しかも稜線なので吹き付ける風が強く、半袖はもちろん、薄手の長そでシャツでは寒くて歩けないほどだ。
残念である。 視界のない稜線歩きなど、ただの山歩きにしかならない。山を歩く事自体は好きなのでそれはそれでいいのだが、期待していた分、落胆も大きい。唯一、登山道に咲くコマクサなどの高山植物が元気のもとである。 歩きだして1時間ほどで、大下りにでる。 その名の通り、稜線歩きにあって珍しく大きな下りになっている場所だ。と言っても、登山初日に経験する厳しい登りに比べれば、大したことはない。少し休憩して、先に進む。 それよりも大変だったのが、茂み道である。 風が吹き付ける反対側には、結構草木が生えている。そこは風もないので蒸し暑く、そして虫が多い。何の虫か分からないが、顔などにまとわりついてくる。花々は綺麗なのだが、この虫は非常に鬱陶しい。 10時半、地図上で唯一「クサリ」と記された場所に着く。 なるほど、確かに鎖場になっている。相棒は青い顔をしているが、それほど危険な場所には見えない。危ないので念のため鎖をつけました、程度にしか見えない。 とは言え、舐めると大変なことになるので、気を引き締めて下る。鎖を持ち下りる時にはそれなりに緊張するものだ。 尚、相棒は重い荷物を担いで下りる事が出来なかったので、自分が2往復して相棒の荷物も担いで下りてきた。
しばらくして大天荘とヒュッテへの分かれ道に着く。10時45分。 この時点で結構へろへろ。今日は「稜線歩きの楽な3時間」と勝手に決めつけていたので、予想以上の長丁場に疲れを早く感じているようだ。天気が良ければ気分良く歩けたはずなのだが、、、などと思ってもそれは仕方がない。天気には勝てない。明日、期待しよう。 ここからは登りとなる。今日は登りなどあまり考えていなかったので、ここに来ての登りは結構体にくる。相棒の機嫌も悪くなって行く。。 ゼイゼイ息をしながら歩くと、いきなり小屋が現れた。 11時半、なんとか大天荘に到着。4時間の歩行だったが、時間以上に疲れた。 早速テン場へ。驚いた事に、まだひとつもテントが張れていなかった。一番乗りである。さすが余裕をもった山行にしただけの事はある。 小屋でテントの受付をし(500円/人)、ゆっくりとテントを張る。方角を確認して、朝焼けが目の前に見える特等席を確保。後は天気の回復を待つのみだ。
テントを張ってからラーメンを食べて、少し休憩してから近くにある大天井岳に登ることにした。テント場からでも10分で登れる。 サブバックに荷物を入れ、ふらふらと登り始める。花の写真を取りながらゆっくり登ったが、それでも15分かからずに大天井岳山頂(2,922m)に到着。 山頂には数名の人が座って、視界が開けるのを待ったりしていた。時々ごく稀に槍の頭が雲の切れ間からのぞくのだが、それも一瞬。後方には黒部ダムも見えるのだが、それも一瞬。晴れていれば凄く景色のいい場所なのだが、、と思いつつ、テントに戻る。 その後は、テントでゴロゴロと昼寝をする。 時々起きては外を見、天候を確認。おやつを食べては、またゴロゴロ。時々、雲の切れ間に見える今日歩いた表銀座の山々を眺める。 天気は悪いが、実に贅沢な時間の過ごし方だ。急がない、焦らない、慌てない。山では大切にしたい事だ。
夕方になって来ると、人も随分と増えてきた。閑散としていたテント場も、随分と賑わってきた。 そして、ついに来た。 晴れ間である。太陽の光がテントに差し込み、これまで覆っていた分厚い黒い雲が消えてゆく。ようやく晴れてきたようだ。すると、眼前には有明山や表銀座の山々、後方には槍が岳を盟主とした穂高の山々が姿を現す。 小屋にいた人も、テントにいた人も、たくさん出てきて、今日初めて姿を現した槍の写真を撮っている。思った以上に槍が近くて、でかい。良かった。ようやく晴れてくれた。 夕食を食べた後、6時過ぎに就寝。 まだ時々雲が立ち込めてくるが、何とか明日の晴天を期待して床に就く。
あまり眠れなかった。原因は近くにやってきた中年5人の大テント。夕方6時ごろから酒盛りを始め、辺りが真っ暗になった午後8時過ぎまで大きな声で座談会をしていた為だ。 どういう感覚をしているのだろう。話しているのはこれまで登った山々の武勇伝。聞いている(聞こえてくる)方がうんざりする話ばかり。しかしどれだけすごい経験をしても、このような山のマナーも守れないようでは、軽蔑の対象にしな過ぎない。 そして悪いが、決まって関西弁。先のタバコの中年も、関西弁。 地域は関係ないと思うが、最低限のマナーが守れない人間は山に来るな。 (大天荘→大下り→燕山荘→燕岳→燕山荘→合戦小屋→富士見ベンチ→中房温泉) 中年5人組のせいで、うとうととしか眠れないまま、起床時間の2時半になる。 今日は距離を歩かなければならないので、「超」早い起床である。 テントを出て空を見上げる。 星だ!! 雲はまだ少し残っているが、たくさんの星が輝いている。目の前にはうっすらと雲海が見える。良かった。今日は晴れそうだ。 テント内を片づけ、簡単に朝食を食べ、身支度をしていると、朝焼けが始まった。
綺麗だ。。 良かった。本当に良かった。もし今日晴れなければ、非常に寂しい山行になっていたはず。最後の最後に晴れてくれた山の神様に感謝である。 しっかりと御来光を拝んだ後、槍を見に行く。槍に朝日が当たるモルゲンロートを堪能。昨日までの天候を考えれば、本当に幸せだ。
今日は朝の4時には出発しようと思っていたが、撮影に夢中になり、結局テントを撤収して出発で来たのが5時半。「超」から、「やや早めの出発」程度になってしまった。 昨日歩いた道を再び歩く。 こんなに深い景色だったのか。。ため息が出るほど、今日は景色がいい。岩のひとつひとつ、残雪の隅々、山の形がすべてはっきりと見える。「晴れる」と言う事が、どれだけ幸せな事なのかが、改めて良く分かった。
昨日、相棒がヒーヒー言っていた鎖場に到着。 なんと、ここに「喜作のプレート」があった。地図上には記載されていたのだが、昨日は全く気付かずに不思議に思っていた。無事発見。 鎖は登りの方が簡単。相棒も荷物を背負ったまま登り、今日のメインである「表銀座」の稜線歩きを開始する。 実にいいものである。左手には裏銀座の山々。右手には雲海。そして後方には槍が岳を背負いながら、快適に稜線を歩く。これこそアルプスの登山だ。
昨日までこの山行のメインだった高山植物も、今日は大パノラマのひとつのアクセントになり下がる。いや、なり下がると言うよりは、上手く調和していると言った方がいいだろうと思う。壮大な景色を見、槍を眺めたりすると、自然とにやにやとしてしまう。
途中、大下りの前で軽く休憩。 立派な槍を眺めながら、軽食を摂る。贅沢な軽食だ。ずーっと眺めていたくなる景色である。今日もそれなりに登り下りがあり大変なのだが、足が軽い軽い。ガンガンと前に進む。 槍を眺めたり、一緒に写真を撮ったりしながら稜線を歩く。2日間待ったこの時間を十分味わう。これでもう寂しい思いをしなくて済む。
9時ちょっと前、燕山荘に到着。3時間半。予定通りの山行だ。 目の前には初日に少ししか姿を見せてくれなかった燕岳が佇む。よく写真で見かける綺麗な稜線を持した姿だ。今は新緑の季節だが、秋になれば緑に交じって赤や黄色の彩りも増える。中々の風景。よく人は「なぜ燕岳が百名山ではないのか」と言うが、なるほどここ燕山荘からみるこの山は確かに趣きがある。
一息ついて、地図を見る。3時間以上歩いているのに足の疲れは不思議とほとんどない。待ち望んだ稜線歩きのためだろうか。帰りの中房温泉までは約3時間。下りなので今の体力なら十分余裕がある。 となれば決まりだ。 2日目に行けなかった燕岳に向かう。 相棒は休憩しているとのことだったので、重いバックパックを預け、一眼レフとストックを持って1人向かう。
燕岳への道も、嬉しい事に稜線歩きになる。白い砂や岩場を越えてゆくのだが、難易度的には初級だろう。途中イルカ岩やメガネ岩など奇石で有名な場所でもある。 アップダウンを繰り返し、岩場を登ると、狭い山頂(2,763m)に辿り着く。片道約20分強。山頂からの風景も中々のものである。
相棒を待たせているので、景色を堪能した後すぐに下山する。 カバンが軽いってのは素晴らしい。下り部分なんて小走りできるぐらいだ。お陰で往復50分足らずで行って来れた。相棒も、「もう帰って来たの?」って顔をしている。 お腹が減ったので小屋でカップラーメン(350円)を購入する。 お湯や箸をくれ、ごみまで引き取ってくれるサービスだ。すごい。空腹が満たされると共に、体が欲しがっていた塩分が何より嬉しい。パンは持っていたが、汗と共の流れる塩分を補給するにはこういったものがいい。 お腹が減ったからご飯を食べる。 こんな単純な事が、山の上では本当に幸せだ。 トイレなどを済ませ、約10時、下山を開始する。 初日に、あれだけくたばっていた登山道が、何とも軽快な道に変わる。おしゃべりをし、景色、花を愛でながら下る事が出来る。霧が出ていて景色は今一つだが、何故か本当に今日は体の調子がいい。 1時間ほどで合戦小屋に到着。 やはりたくさんの人がスイカを食べている。美味しいのだろうな、と思いつつ残ったリンゴをまた齧る。登りの人達の顔がきつそう。自分も初日はあんな顔をしていたのだろうと、何だか面白くなってきた。 その後、富士見ベンチ、第三ベンチ、第二ベンチと下ってゆくと、さすがに足が痛くなり、さらに高度が低くなる為気温が増し、汗もたくさん出てくる。霧が出た初日と同じような登山道になったが、下りの分だけまだましだ。 13時頃に中房温泉に到着。 8時間近くの大移動であったが、時間の割に疲れが少ないのはやはり稜線歩きや下りだったからだろう。 ちなみにこの時間でも、まだ登り始める人がいるのだが、一体山頂には何時に着くつもりなのだろうか。まだ日が長いとは言え、午後からの天気は荒れやすく危険度は増す。山は早朝出発ってのが、基本じゃないのだろうか。 やはり中高年のグループであったが、無事山頂に着く事を祈りたい。
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