|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2011年7月14日〜17日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3泊4日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
上高地〜槍沢(ババ平)キャンプ場 昨年のお盆に計画していた槍ヶ岳登山に、ようやく挑戦できる時がやって来た。「梅雨明け10日」、山の人間にとって待ちに待った夏山の開始にして、天候が安定する素晴らしい期間に遂行する。仕事のメドを何とかつけ、無理やり4連休として槍ヶ岳に挑戦する。本来なら2泊3日で登る人が多いそうだが、ヘタレなので余裕を持ってこの日程とした。 仕事を終え、木曜の夜に家を出る。平日深夜の高速と言うこともありかなり空いている。大型トラックは多いが、スイスイと上高地の駐車場・沢渡までやって来れた。型落ちで買ったナビを使ったのだが、これがなかなか調子がいい。運転が楽になった。 駐車場に車を停め、1時間ほど仮眠。5時45分に登山準備をしてバスに乗り込む。平日なのでやはり若い人はあまりいない。多くが御年配の方々ばかりだ。大きなバックパックが否応に目立つ。それにしても素晴らしき快晴。雲ひとつない空が広がる。 上高地バスターミナルに着くと、もう多くのバックパックを持った人達が準備をしていた。登山届を出したり、ストレッチをしたり、だ。 6時30分、槍ヶ岳に向けて出発。しかし上高地に来ると、一昨年の涸沢を思い出す。。指が痛くて死にそうだったなあ。。
ご存知の通り、上高地から横尾まではほとんど平坦な道が続く。10kmほどあり、時間も3時間以上かかる。平坦だから気楽に思えそうだが、景色や道が代わり映えなく続くのは結構しんどい。ボディーブローのように確実に体力を奪って行くし、3時間と言う長い時間を費やさなければならないのも厳しい。 まあ、でもそんなこと言っていても仕方がないので、とっとと歩く。 7月中旬になるが、上高地付近はあまり新緑ではないようだ。濃い緑の木々が目立つ。でも美味しい空気や透き通った梓川の水、時々目に入る残雪の山々は、アルプスに来たのだと十分に実感させてくれる。 登山者は少ない。平日なので当たり前なのだが、これだけ人が少なくゆっくりと歩けると言うのは嬉しいものだ。 先述の通り道は大したことはないのだが、何せテント泊の山旅はGW以来2ヶ月ぶりになるので、心とは裏腹に体がついて行かない。1時間おきにあるロッジでゆっくり休憩しながら進まなければならない。いやはや情けない。 上高地からの空気は結構乾燥していて歩くのにはちょうどいい。下界のような鬱陶しさはない。でも、超・晴天のお陰で降り注ぐ日差しは強烈だ。木陰の中を歩くには問題ないが、日差しが降り注ぐ岩場などは照り返しも含めて強烈な暑さを感じる。これから標高が上がればさらにきつくなるのだろうか。
明神、徳沢、横尾まで順調にやって来る。結構しんどい。情けない事にもう疲れが出てきている。随分歩いた気がするが、上高地が約1,500m、そしてここ横尾が約1,600m。標高にして100m程しか登っていない。。3時間も歩いたのに。。。 さてここまでは前回の涸沢と同じルート。ここから槍ヶ岳には北上する。初めての道となる。ちょっとワクワクしながら先に進む。看板に「槍ヶ岳」と書いてある。気分が盛り上がる。
横尾までの道はほとんどハイキングコースだ。しかしここ横尾から先になってようやく登山道らしくなる。依然傾斜はないが、その分道幅が狭くなっている。 1時間ほどで一の又に到着。ここらはずっと梓川と並走して歩いているので気持ちがいい。しかしまあ、水の綺麗なこと。透き通った水色。飲んでも問題ないと思う。 やがてゆっくりとだが傾斜が出始める。岩なども多くなってきて、ようやく登山らしくなってきた。ただもうこの頃にはほぼ体力が尽き始めている。情けない事だ。
小さな水力発電機が見えれば、槍沢小屋はもうすぐだ。最後に石階段を上り12時20分、小屋に到着。 ここで一息つく。お腹も減って来たのでラーメンを沸かして食べる。またここには何と自動販売機があり、各種冷たい飲み物(ビール350ml/500円、オレンジジュース/350円等)が飲める。すごい。 またここで今日の宿泊地である槍沢(ババ平)キャンプ場の使用料(500円/人)を払わなければならない。キャンプ地は何故かここからさらに30分も登らなければならないそうだ。冷たいビールは飲めんなあ。。 なおここのロッジに小さな望遠鏡が置いてあり、そこから槍の頭だけが見える。ちょっと嬉しい。
さて再び登り始める。 体力的にもきついのだが、それより何と言っても強烈な日差しが歩みを遅くする。梅雨明け10日で晴天なのは有難いのだが、日差しがきつすぎる。痛いほどだ。特に岩場などでは照り返しで上下から焼かれる感じがする。水の消費量も自然と多くなる。 14時、ようやくババ平キャンプ場に到着。疲れた。。 平日なのでテント数はかなり少ない。予想以上に狭いテント場だ。今回は山頂ピストンで、帰りもここに張るのだが大丈夫だろうか。 水場は遠方からホースで運ばれてきている。暑い時間帯にはぬるくなる。トイレは少し離れた場所にひとつ。便座を木で囲っただけの簡易的なもの。人数が多い場合は苦労するだろう。
それにしても暑い。。ここはあまり木陰になる場所もないので、強い日差しをまともに受けなければならない。テント内などまさにサウナ状態。とても居られたものじゃない。
なお、今回は最近始めた野点セットを持参した。要は外で点てる抹茶だ。高級な抹茶を持参したので味は問題ない。アルプスの美味しい空気と抹茶が何とも贅沢な時間を感じさせてくれる。山の水もやはりいいのだろう。 19時過ぎ、片づけをして就寝。ここは標高1,900mほどなので、それほど寒くはない。 ただまだ明るいのだが。 槍沢(ババ平)キャンプ場〜槍ヶ岳山荘 2日目は行程がきつい事は分かっていたので、5時半と早目に出発。まだ日が差さない谷間を歩く。 最初は梓川のほとりを歩く。まだまだ木々が茂っていて、ひんやりとした朝の空気と一緒になって気持ちがいい。目の前にはアルプスの山らしい雄大な景色が広がり、心躍る。 6時に大曲に到着。ここから方向を変えてさらに進む。前には残雪を抱いた山々に、雪渓も見える。だいぶ深い場所までやってきたことを実感する。 さて、しばらく歩くと大きな雪渓が現れた。今日も平日なので登山者は少ない。夏山シーズンも明日から始まる3連休から本格化するので、この時点ではまだあまり人はいない。つまり登山道があまり踏まれれていないのだ。雪渓には足跡はなく、山に入る方にあったのでそちらに向かう。しばらくすると再び雪渓に出た。 困った。。 全く足跡がない。上に登ってゆくことは間違いないのだが、3つほどに分かれていてどれだか分からない。 しばらくウロウロしていると、後発のグループがやって来た。尋ねてみたが「知らない」とのこと。ただそれらしき方へは歩いて行ったので、後をついて行くことにした。これが間違いの始まりだった。
すぐに雪渓は小さくなり、狭い通路のような場所になって来た。何とか歩けるレベルだが、岩が多い。よじ上る感覚だ。頑張って登っているのだが、ちょっと違和感もあった。雪がなくなり夏道が出たはずなのに、正しい登山道を示す○印や方向を示す矢印がまったくない。 ただもう何人もの人が先に登っているので、大人しく着いて行くことにした。 しばらくしてまた雪渓が現れた。今度は結構傾斜がある。キックで登るのはちょっときついか。休憩を取りながら念のため持参した軽アイゼンを付ける。持ってきてよかった。 しかし登れば登る歩と傾斜がきつくなってゆく。思わず並走している土の道に避難。よく見ると先の方に女性が1人登っている。ここの方がまだ登れる。 しかし変だ。結構草や花が咲いていて、ほとんど踏み跡もない。石がたくさんあって登れるには登れるのだが、かなり不安になって来る。ただ正規の登山道ではないことはなんとなく分かっていた。
しばらくすると先を歩いていた女性が下って来た。 「道がなくなっている」、とのことだ。 やはり間違いだったのか。左側に横たわる大きな雪渓を皆登っているらしい。完全なルートファイティングミス。ここから最初の雪渓の地点まで戻らなければならない。。。はあ〜。。なんてこった。 落胆する相棒を元気づけ、苦労しながら雪渓、岩場を下る。結局最初の雪渓に戻ったのは9時過ぎ。2時間半近くもロスをしてしまった。仕方がない。元気を出して再び登ろう。 しかしまあ、今日も物凄い快晴。残雪の山と新緑の緑、そして青すぎる空が見事すぎる。強い日差しの為、雪の上を歩いていても汗が出てくる。日焼けに気を付けながらゆっくり登る。 この辺りはまだ夏道と雪渓が入り乱れている。ぐちょぐちょになった雪渓を歩いたり、照り返しの強い岩場を歩いたり。それでも正しい道を見つけられた喜びで先に進む。
10時30分、天狗原分岐に到着。随分と久し振りの標識が嬉しい。しかし地図を見ると、まだまだ全然歩いていないことに愕然とする。先を眺めても暑い暑い登山道が伸びている。先のロスで結構水も消費してしまっている。きついなあ。。 完全に綺麗な夏道を登る。もうこの辺りはなだらかな道はなく、ほとんどが登りのみ。木々も低くなり、日蔭などもない。相変わらず、と言うか時間と共に強さを増す日差しを全身に受けながら歩く。雲ひとつない晴天で嬉しいのだが、、ここは耐えて歩く。 周りの人も相当暑さにやられているようだ。歩行速度がかなり遅い。しかしそれに負けないぐらい、こちらも遅い。 ところでこの槍ヶ岳のコースは、槍が見えてから非常に長いとネットなどにあったが、「まだその槍すら見えん」段階でこれだけバテてていて大丈夫だろうか。くらくらしながら先に進む。 ところが、突如、山の女神が微笑んだ。 水場である。しかもめちゃくちゃ冷たい雪解け水。確かに地図上には水場の印はあったが、まさか雪解け水だとは。熱せられた体に冷水が沁み渡る。水のがぶ飲みは良くないとは思ったが、それを止めるのは無理。心おきなく水を流し込む。荷物は重くなるが満タンにまで水を補給し、さらにタオルに沁み込ませ涼を得る。 生き返った。これまで何人の登山者を生き返らせて来たのだろうか。 これでまたしばらく歩けるようになった。
その後、雪渓やグリーンバンドと呼ばれる樹林地帯を過ぎると、ようやくようやく槍ヶ岳が姿を見せてくれた。ここからが長いと言うのだが、今回は「ここまで」が長かった。目標が見えているのとそうでないのとでは雲泥の差。気分的にも随分違う。 ここからは雪渓と岩場の連続であった。もう気力で歩みを進めるのみ。「一歩歩けば確実にゴールは近くなる」、疲れた際の座右の銘が頭を埋め尽くす。無心で登る。 途中で殺生ヒュッテとの分かれ道に出た。あそこでもテントが張れるらしい。ヒュッテの方が遥かに近い。かなりの誘惑を受けつつも、目指す槍ヶ岳山荘に向かう。 槍ヶ岳山荘がだいぶ近付いてきたと思った時、眼を疑う光景が広がった。 見上げるような坂である。 これを登るのか? 無論、直登はできないので、道が左に右に曲がったつづら折りになっている。 しかしこれを登らないとゴールはない。なるべく上を見ずに、一歩一歩歩いて行った。
14時30分、ようやくようやく槍ヶ岳山荘に到着。 長かった。本当に長かった。 荷物を下ろし、キャンプ場の支払いに向かう。ここ槍ヶ岳山荘では、テント場が30しかなく、満員だと別の場所に行かなければならない。また申込時に番号を振り分けられる。 ところが、今日は平日で場所はかなり空いているとのことで、好き場所を使ってもいいとのことであった。ラッキー。 歩いて数分のところにあるテント場に着く。途中トイレもあったが、なかなか清潔そうである。既に先客もいたが、まだまだいい場所がたくさん空いている。眺めのいい場所にテントを張り、すぐさまロッジに向かう。 ロッジの前には簡易テラスがあり、ここから目の前にそびえる槍ヶ岳や、これまで歩いて来た登山道そして北アルプスを眺めることができる。そして何より一番のお目当ては、やっぱり冷えたビール。500ml/750円と決して安くはないが、場所を考えれば納得できる価格だ。 ラーメンを沸かしながらビールをごくりと飲む。 最高だ〜。 これまでの疲れがすべて消えてゆく。最高の景色に最高の一杯。おやじ臭くなってきたが、こればかりは止められん。 そしてまたラーメンの美味いこと。思わず涙が出てしまうぐらい美味しい。インスタントラーメンで泣いたのは初めてだと思う。
景色とビールを堪能した後、テントに戻る。 しかしここ景色は良いのだが、やはり暑い。標高は高いので日陰に入ればすぐに寒くなるのだが、直射日光はかなり強い。テント内もまたしてもサウナ状態だ。 日が弱くなる夕方まで日陰に避難したり、写真を撮ったりして過ごした。 夜は早めに就寝。明日はいよいよ槍に登る。
槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳〜槍沢(ババ平)キャンプ場 4時過ぎに起床。外はもうだいぶ明るい。御来光を見ていたのか、すでに槍ヶ岳山頂には人が登っている。早いもんだ。 ゆっくりと食事と準備をして、いよいよ槍ヶ岳に登る。相棒は槍に張りつく梯子をみて不参加。「無理無理」、とのこと。 最初がらがらとした石の道を歩く。やがて岩に張り付くようにペンキが記されており、同じように張りつくように登る。これまでの登山とは全く別物であった。両手両足を使い、まさによじ登る感じだ。手を掛ける場所、足を乗せる場所を一つ一つ確認してゆかなければ危ない。時には矢印が示す方向を見て、 本当にここを登るのか? と思うほどの場所もある。驚きだ。それに場所によっては結構高所感があり、ちょっと下などは見られない状態にもなる。大きな岩にしがみつきながら登る内に、「槍は登るモノではなく、見るモノだな」などと思い始めて来た。 基本は三点確保がしっかりできていれば難関というレベルではないが、自分のようにこのような場所が初めてならちょっとビビるかもしれない(ヘタレなので)。
特に緊張したのが以下の2ヶ所。
登り始めて20分。ようやく山頂に到着した。 山頂は、どうだろう全部合わせれば5〜6畳ぐらはあるのだろうか。岩でゴロゴロしているし、あまり広くはない。それでも先の方には小さな祠があるし、何せ遮るものが全くない360度の絶景が広がっている。昔登った双六岳や穂高等がはっきりと見られる。ゆっくりとだが、だんだん槍の登ったという実感がわいてきた。
ただ、ここに来て思い出して来たのだが、実は高いところはあまり好きじゃなかったのだ。う〜ん、山登りをやっているのに高いところがだ苦手とは。。一眼レフを取りだすのにも、座りこんで用意しなきゃならない状態。写真撮影中も、「どうやって降りよう・・」とか心配し始めている。やれやれ、情けない。
風も強かったので、しばらくして下る事にした。いやいや下りの階段も涙ものである。。 ところが、だ。 下り始めると、意外にも恐怖心は吹き飛んでいた。ひとつは梯子や杭などが信頼に値するものだと思えたこと。もうひとつは下れば下るほど高さが低くなり嬉しくなって行く事だ。と言う訳で、下りはまさにジャングルジム感覚で降りる事が出来た。危険な個所もあるのだが、何故か楽しむ余裕が出て来た。行きの恐怖感は何だったのだろうか。。
テントに戻り、いよいよ下山に取り掛かかる。下山するだけでも2日掛かる。上高地は遠い。 今日もいつも通りの超快晴。雲ひとつない天気だ。お陰で日差しはまた強いが。苦労して登って来た槍ヶ岳山荘に別れを告げる。 下りの最初は心臓破りの坂。でも下る際は心臓は破れません。足が少し痛くなる程度。人も少ないのでゆっくりと下れる。 岩場を越え、雪渓を下り、本当にあっという間に槍ヶ岳が小さくなって行った。下りの雪渓では相棒にはアイゼンを付けさせたりしていたのでだいぶゆっくりとしていたはずなのに、本当にあっという間に槍は小さくなってゆき、そして見えなくなってしまった。残念だがいつまでも槍を見ている訳にもいかない。それに今日は物凄い数の人が登ってきている。いよいよ夏本番だ。
しばらくして雪解け水の水場にやって来た。 槍ヶ岳山荘では水は有料(200円/L)で、しかも雨水を消毒して使っているので、正直不味い。申し訳ないんだけど、不味過ぎる。と言う訳で、ここで再び冷水をむさぶり飲む。やっぱり美味しいや。 元気を貰い再び下山。 今日も炎天下のもと歩くのだが、登って来る人を見ると哀れになって来る。本当にしんどそうなのだ。まあそれは昨日自分もそうだったので仕方がないが、それにしても暑すぎ。 やがて道を間違えた雪渓付近までやって来る。 今日は登る人も多いので、しっかりと足跡がついている。これなら間違えることはないだろう。大曲付近まで来ると約1,000mぐらいは標高が下がって来るのだが、その分暑さも増してくる。木陰を歩ける時は良いのだが、そうでない時は非常に苦しい。 多くの登りの人をすれ違いながら、12時前にはババ平キャンプ場に戻ってきた。
今日は3連休初日。予想はしていたが、既に多くのテントが張られていた。何とかいい場所を見つけて設営。昼食を取りながら時間を過ごすのだが、あ〜、暑い。。。本当に今回の登山は暑さとの戦いだ。 それに次から次へと人がやって来る。もうこれ以上ないと言うほどテントも張られ、最後の方に来た人は辺鄙な場所に張らざるを得なく可哀そうになって来る。テント場がテントで埋め尽くされた。トイレとかはどうするのだろう? ここで山旅始まって以来のミスを犯す。 暑さに耐えながら数時間、休憩どころか逆に体力を奪っていく中で、人もどんどん増えて行く。近くにはお決まりの関西弁の集団。遠慮せずにデカイ声で騒ぎ始める。 テントを張った場所が水場の近くだったので、人の増加と共にテントの前を人が行き来するようになり落ち着かなくなってくる。 そんな中でやってしまった。 食事の準備中、煮えたぎったスープを倒してしまい、相棒の足首へ被ってしまった。 火傷である。 それからが大変であった。物凄く痛むらしく、涙を流しながら耐えている。近くの川に行ってぺちゃんこ水筒に冷水を入れ、すぐに冷やす。夜になって水場の水も冷たくなってきたので直接水を当て冷やす。結局一晩水筒の水を当てていなければ眠れない状態であった。 明日は歩けるのか?申し訳ない気持ちと、明日への不安、そして水の交換などでほとんど眠れなかった。 槍沢(ババ平)キャンプ場〜上高地 3時過ぎから周りが騒がしくなる。 ババ平キャンプ場にテントを張ったまま、槍を往復する人たちだ。2泊3日の行程ではこれが最もポピュラーだ。今日はゆっくりしようと思っていたのだが、お陰で4時には起きてしまう。 相棒の足もだいぶ良くなったようだが、まだ水を当てていないとヒリヒリするらしい。なんてドジを踏んだのだと改めて辛くなる。運が悪かったことに火傷の薬を用意していなかった。火傷までは想定していなかった。どちらかと言えば転倒などのケガを想定したものばかりであった。 決してこれは良い方法ではないのだが、応急処置としてガーゼを患部に当て、包帯で巻いて靴の紐を緩めて歩くことにした。ただ患部が擦れて痛いので、肌用のクリームを塗った。 相当痛そうだが、これで出発することにした。昨晩よりは状態は良いらしい。 しかしやっぱり相当痛いと見える。 確実に歩行速度が遅くなっている。上高地からの最終バスが17時ぐらいなので、それまでに辿り着ければいいと思うのだが、どうだろうか。。 地図上の時間の倍以上掛かって、ようやく槍沢小屋まで辿り着いた。 そしてダメもとでスタッフの人に聞いてみた。 「火傷の薬はあませんか」、と。 すると別のスタッフの人が個人的に持っていた軟膏を貸してくれた。何と言う偶然。すぐさま相棒の足に塗り込み、包帯を巻く。スタッフの方には丁重にお礼を言って返却した。 この薬が本当に効いた。
後に相棒の火傷が「浅達性U度熱傷」という決して軽くはない火傷と分かったのだが、最終日7時間と言う長丁場をその足で歩き通してくれた。槍沢小屋のスタッフの方に感謝するのと同時に、相棒にもとても感謝した。よく頑張ってくれた、と。 槍沢小屋から横尾まではまずまずの登山道。石なども結構ある道だが、その先は平坦な道で足の負担も少ない。ただ、3時間と長いのでこれには参った。じわじわと体力を奪うボディーブローのように襲いかかって来る。 さらに明神辺りまで来ると、登山ではない観光客が増えてくる。上高地に至っては真っすぐ歩けないほどの観光客で埋め尽くされていた。寝不足、気疲れ、長時間歩行と、もうふらふらだ。 適当にお土産を買い、バスの列に並ぶ。物凄い長蛇の列。1時間以上も炎天下の下、バスを待ち続けた。
命は無事に、行程も遅れることなく下山できた。 ただ、自分の不注意から最後は本当に辛い山旅となった。帰宅途中に薬を、そして帰宅後はネットで見つけた湿潤治療を行っている。患部にワセリンを塗り、ラップを張っておくだけの治療法だ。今のところ異状はないが、無事に完治してくれることを祈る。 追伸 上記のラップ療法のお陰で、酷かった火傷もかなりきれいに治癒しました。言われなければ分からないほどの状態です。治療法はネットで幾らでも情報があるので、是非火傷などの外傷の時はお試し下さい。ただし治療は個人の責任で。専門医がいればそちらを受診されることをお勧めします。
日本アルプスへ |